骨粗鬆症治療の第一選択薬はアレンドロン酸といったビスホスホネート製剤であるが、骨粗鬆症治療薬として選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)であるラロキシフェンの処方があったので紹介します。
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)とエストロゲン製剤の比較として,,,
SERM:骨のエストロゲン受容体にはアゴニストとして作用し骨吸収抑制作用を示す。
一方、子宮や乳腺にはアンタゴニストとして働くことで、エストロゲン依存性腫瘍の(乳がん、子宮体癌)リスクを回避する。そのため、閉経後骨粗鬆症の第一選択薬となっている。
しかし、SERMの中でも第一世代SERMと第二世代SERMがある。
第一世代SERM(タモキシフェン、トレミフェン):骨密度低下をきたすことなく、乳腺組織の増殖を抑制することから、乳癌治療に使用される。
※子宮内膜増殖作用による子宮体癌の増加が問題となる。
第二世代SERM(ラロキシフェン、バゼドキシフェン):乳腺組織や子宮内膜の増殖をきたすことなく、骨密度を上昇させることから、骨粗鬆症の治療に使用される。
→いずれのSERMも、凝固因子の産生を促進させることから、副作用に血栓症がある。
服薬指導する際は、「血液の流れが滞ると血が固まりやすくなるため、飛行機や車に長時間乗る場合は水を沢山飲んで、こまめに足を曲げたり伸ばしたりしてください。」といった他に「無理のないように適度に体を動かしてください。」と指導する。
エストロゲン製剤:骨吸収抑制作用はあるが、同時に乳癌や子宮体癌のリスクも増加する。
※昔は、閉経後骨粗鬆症の第一選択薬だったが、乳癌、子宮体癌、血栓症のリスク増加などの理由から現在では積極的に処方されていない。しかし、更年期障害に対するホルモン補充療法(HRT)として有用であり、症状改善効果に加えて骨密度上昇効果も得られる。